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photo credit: ghedo via photopin

どこへ行っても治らない、と言われて当院へお尋ねになられる方が多い症例についての記事です。特に難治性の難聴や慢性痛について解説していきます。

ここでのポイントは2点で、
①末梢の神経が変化してしまうこと。
②脳の中で情報の伝達が変化してしまうこと。
が考えられます。

先ず、その2つのポイントを押さえていきましょう。

 

神経の変性

背骨の中を通っている神経を脊髄神経と呼び、背骨から出て手や足、胴体の筋肉・血管や内臓に走行している神経を末梢神経と呼びます。そして、末梢神経には電気コードのようにカバー(髄鞘という)があるものと無いものがあります。

風邪などのウイルスに感染した場合、通常、免疫が働いて抵抗しますが、この時自己免疫が誤作動を起こし、自分の体の神経を攻撃してしまうことがあります。一種のアレルギー反応と考えられています。そして、神経のカバーを壊してしまい(脱髄)、神経の機能が上手く働かなくなります。さらに悪化すると神経線維そのものも破壊してしまいます。

神経線維自体がダメになると、再び元には戻りません。

この時、一度に多くの神経根が障害されるといろいろな症状がいっぺん出て、多発性神経炎と呼ばれます。

また、帯状疱疹後の神経痛では、もっと末端の神経が水疱瘡のウイルスに傷つけられます。急性期は、皮膚に近いところの感覚神経に炎症が起こり痛みを発するのですが、1ヶ月以内にキチンと治療しないと傷ついた神経が正しく修復されず、変化してします。痛みを感じる神経が異常興奮をおこし、慢性的な痛みを感じるようになります。

これも先ほどと同じで、1回変性を起こした神経は元に戻らなくなります。

どの様な場合でも、組織が一度炎症を起こし回復する際に、壊れた細胞は瘢痕組織という代用品に置き換わります。瘢痕組織が形成され、神経がそこを再び支配しようとした時、以前より刺激に対して敏感になりやすくなっています。

そのため、以前では何とも無かったことが、痛みとして感じられることが起こります。

 

脳の伝達回路の変化

脳は不快なこと、危険な事に対しては、自身を避けようとして、その物事にたいして過敏に反応しようとする傾向があります。脳の神経細胞が、その刺激に反応しやすいように神経の回路(通り道)を強化しようとします。それが症状の悪循環を作り、症状を強化していきます。慢性化して、その神経回路が反応するたびに、回路は強化していくので、ますます治りずらくなり長期化していきます。

 

難治性疾患その1(難治性耳鳴り)

巷の健康関連情報(治療院の宣伝も含めて)などを見ると、耳周辺のリンパの流れをよくすれば良いとか、血流を良くすれば良いとか、アブミ骨筋を支配している顔面神経が不調だと鼓膜が過敏になり耳鳴りを起こすだとか言われています。

しかし、リンパの流れや血流改善すれば良くなる時点で、すでに難治性とは呼べないでしょう。本当の難治性ならその程度で改善はしません。また、顔面神経の調子を見ても特に問題ないのがほとんどです。

耳鳴りのメカニズム

耳鳴りの原因として有力な説が、アメリカのパウエル・J・ジャストレボフ(Pawel J Jastreboff)博士によって1980年代に唱えられました。それは、神経生理学的耳鳴りモデルと言う理論です。

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wikipediaより原作者Oarih

先ず前提として、神経とは電気信号で情報を伝える細胞なのですが、どんな時でも常に活動(発火)しています。神経が活動していないという事は、その神経細胞は死んでいるという事を意味しています。

そして、聴覚を司っている内耳の神経も当然ながら常に活動しているので微弱電流を発しています。

音を感知する蝸牛という器官の中にはリンパ液がつまっていて、鼓膜からリンパ液の中を音が振動として伝わります。その振動を有毛細胞が感知して、脳に音の情報を伝えます。

有毛細胞には2種類あり、役割が違っています。内有毛細胞というのがあり、これが伝わってきたリンパ液の振動をを感じ取りそれを電気信号に変えます。もう一つは、外有毛細胞といい、音の感度を調整していると考えられ、、ここからの信号は脳の背側蝸牛神経核というところで音の信号を抑制する働きをしていると考えられています。

外有毛細胞のほうが弱く先に障害を受けることが多く、そうすると内有毛細胞からの信号が過剰に大きくなります。本来は小さくて感知できない程度の内耳からの自発放電(活動電位)を認識してしまいそれが耳鳴りであるというものです。

聴覚神経から入ってきた音情報は、大脳の皮質下というところでさまざまな聞こえてきた音の中から耳鳴りの音を選別しています。さらにその音に対し、大脳皮質という脳の表層部(思考を司る部位)で評価をします。

その際、無害な音、どうでもよい音は切り捨てられ、意識にまで上がらないようにしています。逆に重要な音、危険・注意すべき音は意識するようにします。耳鳴り音は不快な音として注意が向けられます。

原始的な感情に快・不快というのがありますが、これらは大脳の中でも扁桃体や辺縁系とよばれるところが強く関与します。そして、耳鳴りに対する不安や苛立ちに辺縁系が過敏に反応するようになり、苦痛を感じます。

ストレスを強く受けると自律神経に不調をきたす事は皆様も知っているように、辺縁系で耳鳴りと苦痛が結び付けられ、自律神経を乱します。そしてより一層、耳鳴りを意識するようになり、悪循環のネットワークが形成されてしまうのです。

なぜ、有毛細胞は傷害されてしまうのか?

では何故、有毛細胞が障害されてしまうのか、については現在のところよく解っていません。

難治性耳鳴りになる方の多くは、一旦、最初に難聴になります。その後、聴力は回復しますが、今度は耳鳴りが発生しだす、というパターンを訴えられる方がほとんどです。耳の奥には、音を聞く器官(蝸牛器)と平衡感覚を司る器官(三半規管・耳石器)が一緒に存在していて、蝸牛器からは聴覚神経、平衡感覚器からは前庭神経(2つ合わせて内耳神経)が出て脳に達しています。

内耳神経は風邪のウイルスなどで神経炎を起こすことは良く知れれています。通常、前庭神経が侵され、めまいを誘発します。全くの私見ですが、ひょっとするとこの様にウィルス性に聴覚神経だけ障害されてしまった可能性があります。

TRT

上記の耳鳴り形成モデルを元に改善法が考案されました。TRT療法という医療機関で行われる方法です。

何かに熱中していると周りの騒音や会話が気にならない、という状態があります。これと同じように耳鳴りはしているのですが、意識にのぼってこない状態に慣れさせようとすることを目標にしている療法です。

雑音を聞き続けることで、徐々に耳鳴りが無視してよい音・危険でない音と脳に認識されるようになります。慣らされることにより耳鳴りの音に過敏になっているのを緩和し、意識に上がらないようにクセづけしていきます。

具体的方法としては、耳鳴りと耳鳴り以外の音 (一般的には音響的ノイズ) を一緒に聞くことをします。これには長時間耳に直接装着可能な補聴器タイプの音が出る機器でノイズを聞き続けます。ただし、価格が6万円くらいと効果なのが難点です。

治療音を聞く時間は、専用機器の場合1日6~8時間装着。定期的に微調整が必要となります。訓練期間は12ヶ月~24ヶ月。通常6ヶ月を経過した頃から改善効果が現れるとされています。

ななには個人で独自にやっている人もいるみたいで、ネットで個人の体験記を載せている人も見かけます。ノイズ音はネットですぐ手に入るので、MP3プレーヤー&ヘッドホン・イヤホンでそれを聞き続けるかたちです。

当院でもノイズ音の提供やアドバイスなどは行なっておりますが、自己責任でお願いしています。正しいTRT療法を受けたい方は専門の医療機関へお越しください。当院はカイロプラクティックの施術院なので、カイロプラクティックの手技、思念、思想に基づき脳内環境を改善し、神経機能を整えることで耳鳴りの改善の手助けになると考えています。

南林間周辺でTRT療法を実施している医療機関

○医療法人社団秀和会 堀越医院
神奈川県横浜市港南区大久保2丁目16-37
045-842-4903

○社会福祉法人 聖隷福祉事業団 聖隷横浜病院 (神奈川県横浜市保土ケ谷区)
神奈川県横浜市保土ケ谷区岩井町215
045-715-3111

○医療法人社団こうかん会 こうかんクリニック (神奈川県川崎市川崎区)
神奈川県川崎市川崎区鋼管通1丁目2-3
044-366-8900

○門山医院
神奈川県藤沢市立石3-3203-8
0466-81-1458

なお、当院では医療機関の一般的情報を掲載しているだけで、関係があるわけではありません。
詳しい内容は各医療機関へお問い合わせください。

 

難治性疾患その2(慢性痛)

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photo credit: Racchio via photopin

長期に渡って痛みを感じていると、痛みを伝える感覚神経の通路が変化をしてきて痛みを感じやすくなったり、本来痛みと感じない刺激までも痛みと認識してしまうことがあります。

痛みの通路の変化

背骨の中を通っている神経の束を脊髄と呼びますが、この中を通り脳の視床と呼ばれるところに痛み情報は伝達します。慢性の痛みは脊髄中の感覚神経を変化させ、痛みを感じ続けたり、弱い刺激にも過敏に反応するようになります。これを痛みが中枢へ記憶されるといい、専門用語で痛みの感作といいます。

さらに、脳の中でも痛みを感じる領域が拡大されたり、痛みの情報に対し過敏になります。痛みに対して脳の特定の部分を痛みのマトリックス(Pain matrix)と呼びます。Pain matrixには
・第一次、第二次体性感覚皮質‥‥脳の天辺あたりの左右に広がる体の感覚情報が集まるところ。
・島皮質‥‥痛みや喜怒哀楽の体験に関与。
・前帯状皮質‥‥入力された情報の認知・評価をし、予測を立てる。感情にも関与。
・扁桃体‥‥感情と記憶の処理に関与。
・前頭葉前部皮質‥‥脳の前部にある、人格形成に関わる。
・視床‥‥嗅覚以外の痛み、視覚、温度など感覚情報の中継点。
・大脳基底核‥‥主に運動の調整を行なっているところ
・小脳‥‥主にバランスと運動の調整を行なっているところ。感情にも関与。
などを含みます。これらが活性化されやすくなります。

そのため、例えば慢性の腰痛の人では、腰自体の感覚神経はそれ程反応していなくても、逆に脳の中のペイン・マトリックスが強く反応していることがあります。これは、実際は体は痛くないのに、脳の中では痛みを作っていることになります。

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photo credit: Saad Faruque via photopin

正常な場合、腰をかがめる動作は痛みを出す動きではありません。神経や脳の回路が変化している場合、患部の炎症が治癒している場合でも、腰を曲げるという刺激(筋肉が引っ張られる感じや圧力が加わる感じなど)に過敏に反応し、本来痛みとは感じないことを痛みと認識するようになってしますということです。

これは、一種の防衛反応として患部に負担がかかるのを防ごうとする働きによると考えられていますが、急性期の危険信号の役目はすでに無いので、逆に行動や生活の邪魔をして、本人の苦痛になります。

慢性痛の予防のために

「中枢への痛み記憶の固定化」「脳内の痛み感覚回路の強化」「痛みの悪循環」などと呼ばれているこれらの慢性痛化への道のりを防ぐためには、先ず、初発時(一番最初に症状が出現した時)に早期からしっかりとしたメンテナンスやリハビリを行い、炎症組織や神経系に痛みの固定化が起こらないようにすることです。

例えば、腰痛の場合、最初にギックリ腰をした時に治療を中途半端に終わらせてしまったとしましょう。この時、炎症を起こした組織が修復された際にできた瘢痕組織という修復材の機能がちゃんと整えられないまま組織の形成が済んでしまい、前述したように痛みに過敏になってしまいます。

そして、痛みがあったところは負荷をかけないようにしようとして、行動的にも無意識に力を入れないようにします。また、痛みがあるところは筋肉自体も抑制がかかり力が入りづらくなります。そのため、炎症があったところの筋肉は弱くなります。

最初のうちは、周辺の健康な組織がかばってくれるので、その後はなんともなく過ごせてしまいますが、また、強い負荷がかかったりしますと、今度は健康な組織と瘢痕組織の境目で炎症が起こったりします。それは、組織が違うと強度が違うためです。

このようなことが続くと、瘢痕組織が広がり、支える筋組織も弱くなり、そこに行く痛み神経も過敏に反応するようになります。過敏になった痛み神経からの情報は、随時、脊髄神経から脳へ送られているので、どんどん痛み感覚の経路が強化されていきます。

痛みがあると、その部位の自律神経の反応が起こるので、より筋肉が収縮し、周辺の毛細血管の流れが悪くなりより痛みを感じやすくなったり、ハリ感を覚えます。

慢性的な腰痛を訴える人は、実は小規模ギックリ腰を何回も繰り返していた、という人が多いのです。この痛みの悪循環、痛みのスパイラルを防ぐためには1回、1回しっかりとケアをして、瘢痕組織が柔軟に形成されるようにし、神経の過敏化を防ぎ、筋組織がちゃんと働くように訓練してあげるべきです。

今回は、腰痛を例に挙げましたが、肩の痛みやその他の部位でも同じようなメカニズムで痛みが慢性化している場合があります。

すでに慢性痛化してしまった場合どうするか?

 

ダフィーカイロプラクティック南林間

当院ではできるだけ、プラシーボ(思い込み)でない科学的根拠にもとづいた本当に効果のある手技を中心に施術を行っています。まず他院を試され、それでも効果の無かった場合、当院をお訪ねください。お役に立てると思います。